2017年3月25日土曜日

小型工作機CNC2418 その4(PCB削り)

HeightMapを使えるようになったので
HeightMap補正でPCB(プリント基板)にパターン作成する実験です。

中華(AliExpress)から購入したベークライト紙エポ片面基板 70 x 100mm。
そのままの状態では、銅面の中央が1mm程度凹んで反っておりかなり歪んでいます。
10枚組を購入しましたが、端面が割れているものもあり、折って割っているのだろうか?
その為、反れが大きいのかもしれない。安いので仕方ない。
それを、このように4点しっかり留めます。

前回作ったリミットSWの
Probeを装着。











範囲:50 x 95mm 5mm間隔のProbingにします。







220pointも測定したので30分強かかりました。
手前、Y軸ゼロ付近のうねりが大きいですね。
原点付近のZ値を見ると、X30 Y0ポイントで0.138mmも浮き上がっています。
Y軸もX0 Y10ポイントで-0.131mmと急激に凹んでいる。
中央付近では-0.255mmもあります。

Heightmap補正なしで0.035mm銅箔を削るのは厳しいです。
まあ、0.3mmの深さで削れば大丈夫でしょうが。
















X軸辺(短辺)側、隙間が見える程、中央が反って浮き上がっています。








Y軸辺(長辺)側、X軸ほどではないですが、隙間が見えます。
ステージそのものが平らなのか確認していませんが。







今度は、エンドミルでHeightMap測定します。
この0.6mm エンドミルを使います。先端はフラットな2フレークFlute。









エンドミルとA5端子を接続し、PCB上の黒点(マジックで印を付けた)の原点に合わせます。












左:エンドミルでのHeightMapの等高線。
右:先程のリミットSWのProbeでのMap。ほぼ同じ結果になりました。
時間かけて多くのポイント測定したので見る分にも綺麗です。























切削とデータ取りに失敗したので、基盤を横向きにしてテスト再開します。
















X軸辺(長辺)側、こんなに浮いています。






Y軸辺(短辺)側は、かなり凹んでいます。
裏からライトで照らしているので隙間から光が漏れています。













先ほどと短辺、長辺の凸凹が逆になっています。
やはり固定の力の掛かり方が悪い為だと考えられます。
範囲:50 x 50mm 5mm間隔で121ポイントのProbingにします。
19分30秒かかりました。





リミットSWのProbe使用











0.6mmエンドミル使用











参考に比較してみました。
リミットSW-Probeでの測定と0.6mmエンドミルでの測定の差(色つけてみました)
リミットSW-Probeは非金属の木や樹脂用とするので十分な精度です。









次に、このPCBをHeightMap有り無しで銅面を切削して比べてみます。
とは言うものの、まだ回路図・パターン図作成ツールのEAGLEなんて使えないのです。
このランドは、Inkscapeで作成し、Gcode変換して作成。
変換のやり方はもちろん「みら太な日々」ブログのここ見て勉強です。
深さは50μmにしています。深さはGcodeをエディタで直接書き換えて設定です。












まず、HeightMapを作成します。(0.6mmエンドミル装着)
範囲は、X0:Y0~X21.990:Y14.980mmまで(原点から対象物の最遠点)
Y軸方向は、5mm移動で0.1mm凹み、縁端では0.3mm近く凹んでいます。
















それでは、最初にHeightmap補正無しで切削してみます。

原点で

 ボタンでZゼロを調整し、[Send]ボタンで切削開始します。



深さは50μmなので、50μm以上凹んでいる所は削られていまません。
赤丸部だけがわずかに削られているのがわかります。
先に測定したHeghtMapデータを見てもこうなる事がうなずけます。












次にHeightMap補正有りで削ります。
右メニューのHeightMapでCreateした後、一旦、[File]-[Save as]で「***.map」で保存します。
右メニューのHeightMapで[Edit mode]ボタンを押し、Create画面から抜けて
[File]-[Open]で目的のGcodeを開き、右メニューのHeightMapで[Open]ボタンを押して
先程保存した「***.map」を開き、「use heightmap」にチェックを入れます。
(面倒ですが、こうやると確実に動くようです)

先ほどHeightMap補正無しで削れなかったので同じ場所を切削します。
左:先ほどと同じ場所を切削中。
中:切削完了。クズも均一です。
右:掃除後。
S500 F100 深さ:0.05mm(2018.2.26追記)







通常、銅箔は35μmのはず(中華製なのでもっと薄いかもしれない)ですが、
深さ50μmの条件で削り残しもなくきれいにランドができています。
切り屑がほぼ均一に広がっているので均等な深さで切削されていると考えられます。
HeightMapを使うことで、かなりの高精度でパターン作成できることがわかりました。

A5端子の接続を忘れると頻繁に行うZゼロ調整でエンドミルを折る可能性が高いですが
モーターの外装(赤丸部)とA5ピンを接続しておけば良いことがわかりました。
銅面はGNDの接続(赤丸部)も忘れないように。




















数十年前は、専用のマジックでパターンを書いて塩化第二鉄溶液で溶かして
基板にパターンを作っていましたが(このブログのタイトルバックのものも)
卓上CNCでパターンが作れるので大変便利な時代になったのを痛感しました。
しか~し、早くEAGLE使えるようにならないと、先へは進めません。

6 件のコメント:

みら太/mirata さんのコメント...

みら太な日々でございます。

ブログ開設おめでとうございます。
これで有用な情報がいつでも見れるようになりうれしい限りです。
ぜひぜひ参考にさせていただきますので、どうぞ末永くゆるーく更新してくださいませ。

マーティーの工房日誌 さんのコメント...

ありがとうございます。
こちらこそ宜しくお願いします。

昔青年 さんのコメント...

 昔青年と申します。リタイア後の趣味に、電子工作を楽しんでおりますが文科系の人間であります。
 CNC2418を購入し、面だしに七転八倒し、当分PCB切削は、無理な精度しか得られていなかった私にとって、救世主の様な記事でした。
 それにしても、よく考えられていますね。これから、利用させていただきますが、補正後のGコードデータは、保存できるのでしょうか?
GRBLコントロールソフトにbCNCというソフトを使いたいと思っています。
それでは、基板の切削記事を楽しみにしております。

マーティーの工房日誌 さんのコメント...

昔青年さん、参考になって嬉しいかぎりです。
補正後のGcodeデータは保存できません。HeightMapデータは、***.mapとして別に保存しかできません。PCBの場合は、夫々に歪み方が異なりますので、HeightMapデータの使い回しはできないと思います。毎回、測定されることをお勧めします。
文科系の方は、文章の起承転結がきちんとしていらっしゃるのでソフトには向いていると思います。ハードまでやられるとはすごいです。頑張ってください。

昔青年 さんのコメント...

昔青年です。 ご回答ありがとうございます。
Gcodeデータの保存は、bCNCへデータ転送して利用したいと思っていたからです。あらためてbCNCソフトをチェックしてみたら、このソフトにも、autolevel機能なるものがありました。candleもリナックスに対応しているようですので、こちらに鞍替えするのが早いかもしれません。(bCNCのautolevel機能の解説記事が日本語では見当たりませんので-笑-)
当方、RasPiでCNCを動かしております。
これからも製作記事等楽しみに拝見させていただきます。
ありがとうございました。

マーティーの工房日誌 さんのコメント...

いつも返事が遅くなりすみません。コメント入ったらメール飛ばすようにしているメールがなぜか遅延するのです。昔青年さん、こちらこそbCNCを教えて頂きありがとうございます。コメント頂いた後、bCNCを少し調べていましたが、機能が多そうで私の方が鞍替えしようかと考えていた所ですが、GRBLコントローラがGRBL ver1.1じゃないといけないようですね。RasPiですとその辺りの柔軟性が良くて羨ましいです。Fusion360の学習真っ最中なので当面はCandleで頑張りま~す。